父が昭和47年に立てた診療所は鉄筋コンクリート造りでがっしりとした良い建物でしたが、待合室と土間の間に高い段差があって車椅子を利用されている障害者の方に不便であり、また診察室での会話が周りの人にすべて筒抜けという昔ながらの診療所でした。父の死去後、診療所をいったん閉鎖していましたが、再開院するまでの間、せっかくなので21世紀の新しい時代に求められる診療所とはどのようなものか考えてみました。その結果、
- 1. 高齢者やハンディキャップを持つ方々にやさしいこと(徹底したバリアフリー化)
- 2. 患者プライバシーの確保・患者情報保護のための防犯システム
- 3. 診察待ち時間をできるだけ楽に過ごせること(アメニティー)
- 4. 患者情報の電子化、インターネットによる情報提供(IT化)
- 5. 患者教室スペースの作成
などを重視して大幅な改造をしました。このような賞があることを全く知らなかったのですが、当クリニックを利用するどなたかが推薦して下さったおかげで、第12回「大阪・心ふれあうまちづくり賞」奨励賞をいただくことが出来ました。限られたスペースの中で目標を実現するには様々な困難と思わぬ費用がかかってしまいましたが、私のコンセプトを理解しさらに発展させて設計してくださった二井建築研究所の細田 剛宏 様、施工いただいた大垣林業の皆様、推薦してくださった方に深く感謝いたします。
改造のポイント
①古い診療所を改修する際に、玄関を車通りの多い交差点のある北側角から南側に付け替えました。 |
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②前面道路に面したスペースは身体に不自由のある方をアプローチに降ろす車留めとなり、また一般通行人が信号待ちをする間に通行車両を避ける場を提供します。 |
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③アプローチからまっすぐに待合室に入り、受付、診察室へとスムーズに移動できる動線計画。 入り口は十分に幅を取った自動扉です。 入り口が受付と対面しているのでスタッフが障害者の来院にすぐ気づいてカウンターから出て対応できるようにしています。 |
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④廊下の幅を十分にとり、診察室をはじめクリニック内すべて、車椅子での移動が可能になっています |
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⑤診察室は廊下側とは扉で仕切られ、プライバシーの保護に十分な注意が払われています。 |
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⑥トイレは車椅子利用者が単独でも開閉しやすいスライド式回転扉を採用し、内部で転回できる広さを確保しています。 また、急変時のナースコールや、乳幼児を連れて来院される方のためにおむつ交換用シートを備え付けています。 |
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⑦待合室のベンチ、一番後ろの列は妊婦の方や腰痛のある方でも座りやすいように座面が高くなっています。広い窓から、春には桜の花が楽しめます。また、インターネットと常時接続しているパソコンや、糖尿病や高血圧患者様用の料理本など一般向の書籍やパンフレットを備えています。 今年は「糖尿病友の会」のシンボル、こでまりがきれいな花を咲かせました。 |
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⑧勉強会や糖尿病教室を開催するときには、待合室にホワイトボードが出現します。 |
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