山尾内科クリニック 院長 山尾卓司
〒599-8116 大阪府堺市東区野尻町525

山尾内科便りバックナンバー│堺市東区の内科・消化器科|糖尿病など

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無理強いしないこと

山尾内科便り その3 2004.08.26
山尾内科便り

私のモットーは患者様に「治療を無理強いしないこと」です。

コラム「病気の知識を患者様と共有すること」でも申し上げたように、病気を上手く治すためには患者様に病気のことをよく知っていただくことがとても大切ですが、一方自分の体の調子を一番よく知っておられるのが患者様であることも、紛れもない事実です。

「入院の上で精密検査や治療を受けることを勧める医師と、それを嫌がる患者様」は、医療の現場でよくあるひとコマです。がんなどの一刻の猶予も許されない病気を持つ患者様が、ベストと思われる医療をなかなか受け入れて下さらないとき、我々医師は時として苛立ってしまい、つい強引になってしまうことがありがちです。また糖尿病や高血圧などの生活習慣病の患者様に、食事や運動不足などの生活習慣を見直すように勧めてもなかなか良くならないときには、生活療法をあきらめて薬物療法に走ってしまいがちです。

しかしながら、こういう患者様と出会ったとき、なぜ治療を受け入れて下さらないのかよくよく尋ねてみると、たとえば病気のご家族の世話をしなければいけないために患者様本人が入院できる状況でないとか、仕事や家庭のストレスのためにダイエットがうまくいかない、など患者様一人一人にそれぞれ事情があることが分かります。それぞれの事情の中で、患者様は「今の体調ならばまだ入院しなくても大丈夫」などと判断されていることが多いわけです。もちろん、いかなる状況であってもすぐに入院しなければいけない病状もあるのですが、患者様の事情を十分理解した上で「それでも入院が必要なのですよ」とご説明すれば、たいていの方が受け入れてくださいます。

先日、某大学病院で肝臓がんの治療を受けておられる方が当クリニックに来られました。最先端の治療を受けておられるのにもかかわらず、「大学病院に通うのが嫌なのでこちらで診てください」とおっしゃるのです。理由は、大学の担当医に抗がん剤の服用を指示されていて、「気分が悪くなるから薬を変えてほしい」と申し出ても全く取り合ってくれないので、あの医者にかかるのは嫌になったとのことでした。がんの治療は一貫性が大切なので同じ医師に治療を受けるのが最善だ、と申し上げましたが結局、別の病院にご紹介して当クリニックと協力して治療を進める道を探っているところです。医学的に最先端の医療を行っている、という医師の驕りが患者様の気持ちを軽視させた、ひとつの例だと思いました。

糖尿病の治療では、患者様の生活環境によって様々な工夫が必要です。単身赴任で食事の注意がなかなかできない方、深夜の勤務があるために食事・生活が不規則な方などは、ひとりひとり事情をよく聴いた上でないとよい治療が行えません。当クリニックでは、医師、管理栄養士、看護師、マッサージ師、受付事務員まで全スタッフが協力しあい「患者様の気持ちを聞く耳を2つから10個」にして食事・生活・薬物による治療をうまく組み合わせることに取り組んでいます。1年間の通院で体重が10kg以上減って服薬が要らなくなった患者様もおられますが、一方「早死にしてもいいから食べたいものを食べたいネン」とおっしゃる方には、それなりの対応をしております。ダイエットがなかなかうまくいかない患者様の場合は、その理由をつきとめて粘り強く改善の道を探っていきたいと思います。いつかは良いコントロールが得られる日が来ることを信じて・・・

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